大規模リフォーム後に起こる思わぬ弊害とは?
~気密・換気・負圧の落とし穴~
住宅の快適性や省エネルギー性能を高めるため、窓の交換や内窓の設置、断熱改修、換気設備の更新などを伴う大規模リフォームが増えています。 しかし、リフォーム後に「結露やカビが発生するようになった」 「室内が息苦しい」「以前は感じなかった臭いがする」 といった、思わぬ不具合が生じることがあります。

その原因の一つとして考えられるのが、建物の気密性と換気設備のバランス、そして室内の負圧です。
1.気密性の向上が換気不足を招く?
窓の交換や内窓の設置、断熱・気密改修によって、建物の隙間から出入りする空気は減少します。
気密性の向上は、本来、省エネルギー性能や快適性を高め、計画換気を適切に機能させるためにも有効です。
しかし、既存の換気設備をそのまま使用したり、給気口を閉鎖したりすると、排気に必要な外気が十分に取り入れられなくなることがあります。
その結果、換気扇が正常に運転していても、実際には必要な換気量が確保されず、室内のCO₂濃度の上昇や、湿気・臭気の滞留などを招く可能性があります。
「換気扇が動いていること」と「適切に換気されていること」は、必ずしも同じではありません。
2.見落とされやすい「室内の負圧」
室内の負圧とは、室内の気圧が屋外よりも低くなる状態です。
一般的な第三種換気方式では、排気によって室内がやや負圧になることは正常な状態です。
しかし、気密性が向上した住宅で給気が不足し、レンジフードなどの強力な排気設備を使用すると、室内の負圧が過大になる場合があります。
その結果、次のような不具合が発生する可能性があります。
・臭気の流入: 排水トラップの封水切れや配管の不具合などがある場合、排水系統から臭気が流入する
・ドアの開閉不良: 室内外の気圧差によって玄関ドアなどが開けにくくなる
・想定外の空気の流入: 床下、壁内、配管貫通部などから臭気や湿気を含んだ空気が流入する
・結露・カビの発生: 換気不足や湿気の滞留、壁内への湿った空気の流入などによって発生リスクが高まる
特に注意したいのは、目に見えない空気の流れが、リフォーム前後で大きく変化している可能性があるという点です。
3.不具合を防ぐために必要なこと
大規模リフォームでは、断熱性や気密性の向上だけでなく、建物全体の給気と排気のバランスを考慮することが重要です。
リフォーム前には既存の換気設備や給気経路を確認し、リフォーム計画に合わせて換気設備の能力や給気方法を検討する必要があります。
また、リフォーム完了後には、実際に適切な換気が行われているか確認することが望まれます。
そのための有効な方法が、気密測定・換気風量測定・室内外差圧測定などによる客観的な性能評価です。
これらの測定によって、目視や設備の運転確認だけでは分からない建物の状態を、数値で把握することができます。
大規模リフォーム後の不具合を防ぐために、具体的にどのような測定・検証を行えばよいのか、気密測定・換気風量測定・差圧測定は次回以降に続く。。。